女性の性欲低下障害(HSDD)治療薬
女性の性欲低下障害(HSDD)治療薬には、脳の神経伝達物質に作用するフリバンセリン(Addyi/アディ)と、注射薬のブレメラノチド(Vyleesi/バイリーシ)が主にあり、これらは米国FDAで承認されていますが、日本では未承認です。フリバンセリンは毎日就寝前に服用する経口薬で性欲を高める効果が期待される一方、ブレメラノチドは性行為の直前に自己注射するタイプで、いずれも副作用や使用上の注意(特に飲酒)があり、効果には個人差があります。

性的欲求低下障害(HSDD)
性的欲求低下障害(HSDD hypoactive sexual desire disorder)とは、成人女性において「性的な欲求や空想が欠如または低下する」状態を指します。
性的欲求低下障害(HSDD)には本人がこれを自覚し異性とのパートナーシップに重大な障害を生じるケースや、症状自体には自覚性が無く日常生活には大きな影響は無いものの、性的欲求を満たすことによる満足感が得られないままに日々を送っている方なども含まれます。
性的欲求低下障害(HSDD)は女性の数十パーセントに及ぶとされ、症状の大小に応じて種々の対人関係トラブルを生じることがあります。
USDDの治療薬
- フリバンセリン(Flibanserin)
- 商品名: Addyi(アディ)、LOVE PILL(ラブピル)など。
- 作用: 脳内のセロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質のバランスを調整し、性欲を改善する。
- 使用法: 毎日1回就寝前に服用(即効性なし、数週間〜数ヶ月で効果を実感)。
- 注意点: めまい、吐き気、眠気、低血圧、失神などの副作用、アルコールとの併用は厳禁(重度の低血圧や失神のリスク)。
- ブレメラノチド(Bremelanotide)
- 商品名: Vyleesi(バイリーシ)。
- 作用: メラノコルチン受容体作動薬で、性欲を増進させる。
- 使用法: 性行為の約45分前に腹部や大腿部に自己注射(1ヶ月8回までなど制限あり)。
- 特徴: 必要な時に使うタイプで、即効性がある。
日本国内での状況
- これらの薬剤は日本国内では未承認であり、処方されていません。
その他のアプローチ
- SSRI(抗うつ薬)の副作用への対応: SSRI服用で性的機能障害が起きた場合、ブプロピオンの追加や、シルデナフィル(バイアグラ)の利用が示唆されることもありますが、確立された治療法ではありません。
- 心理的要因: HSDDの背景には複雑な心理的要因が絡むことが多く、薬物療法だけでなく、カウンセリングやパートナーとの関係改善も重要視されます。
米FDA 女性の性欲低下改善薬「アディ」、使用対象を閉経後にも拡大

米食品医薬品局(FDA)は12月15日、女性の性欲低下を改善する薬「Addyi(アディ)」の適応を拡大し、65歳未満の閉経後の女性にも使用を認めると発表しました。これまでは閉経前の女性のみが対象でした。
AP通信などが報じています。アディは、米製薬会社スプラウト・ファーマシューティカルズが販売する女性の「性的欲求低下障害(HSDD)」を治療する経口薬で、性欲低下による精神的ストレスを抱える閉経前の女性向けに2015年に初めて承認されました。1日1回服用する必要があり、めまいや吐き気などの副作用が報告されています。
さらに、アルコールとの併用で重度の低血圧や失神が起こる恐れがあるため、飲酒した場合は服薬までに数時間あけるか、服薬を1回分スキップすることが推奨されています。報道によると、HSDDは1990年代に認識された性的機能障害の一種です。
男性向けの勃起不全治療薬「バイアグラ」が90年代に大成功を収めた後、製薬会社は女性のHSDDの研究に注力するようになりました。しかし、特に閉経後は、ホルモンレベルの低下がさまざまな生物学的変化や症状を引き起こすため、性欲に影響を与える要因が非常に多く、HSDDの診断は複雑だといいます。こうした背景から、「性欲低下を必ずしも医学的な問題と見なすべきではない」と主張する心理学者も存在するとのことです。
媚薬と言われるものはある?
「媚薬(びやく)」という言葉には、漫画や映画のような「飲ませると強制的に理性を失わせる」といった魔法のようなイメージがありますが、現代の科学・医学においてそのような即効性や強制力を持つ物質は存在しません。一般的に「媚薬」という名目で語られるものには、大きく分けて以下の3つのカテゴリーがあります。
1. 催淫効果を謳うサプリメント(市販品)
ドラッグストアやネット通販で「女性用媚薬」として販売されているものの多くは、これに該当します。
- 主な成分: マカ、ガラナ、カカオエキス、アルギニン、亜鉛、ムイラプアマなど。
- 効果: これらは薬ではなく、あくまで「血流を良くする」「滋養強壮」「リラックス」を目的とした食品です。直接的に性欲を呼び起こす科学的根拠は乏しく、プラセボ効果(思い込み)の側面が強いとされています。
2. 性欲低下障害(HSDD)の治療薬(医薬品)
前の回答で挙げた「フリバンセリン(Addyi)」や「ブレメラノチド(Vyleesi)」は、医学的に「性欲を呼び起こす」目的で開発された薬剤です。
- 注意点: これらは脳の神経伝達物質に作用する「薬」であり、吐き気や血圧低下などの副作用リスクを伴います。医師の診断と処方なしに使用するのは非常に危険です。
3. 性犯罪に関連する危険な物質(悪用厳禁)
「媚薬」という言葉が、相手の意識を混濁させる「デートレイプドラッグ」を指して使われることがありますが、これは極めて危険で犯罪的なものです。
- 睡眠薬や抗不安薬: これらは性欲を高めるものではなく、単に意識を失わせたり記憶を奪ったりするものです。アルコールとの併用は生命の危険もあります。
まとめ
科学的に認められた「媚薬」はありませんが、五感を刺激して性欲に関わるホルモンや脳内物質に働きかけるアプローチは存在します。
- 香り(アロマ): イランイランやジャスミン、サンダルウッドなどの香りは、副交感神経を優位にしてリラックスさせ、ムードを高める助けになります。
- 食事: 亜鉛を豊富に含む牡蠣や、血流を促すダークチョコレートなどは、古くから催淫効果がある食材として知られています。
もし「性的な意欲がわかない」ことで悩んでいる場合は、怪しい「媚薬」に頼るのではなく、専門のクリニック(婦人科や性機能外来)で、ホルモンバランスの乱れや精神的ストレスがないか相談するのが最も安全で確実な解決策です。
